言語の拡張

アウトライン

※ここからは長いので、まず体験したい人はこちら

最初にアウトラインを示します。
全体としては、まず(1)「言語の本質」について端的に示します。その後で、 の二つを説明します。
これら2つを認識しやすくすると文章、とくに「難解な文章」の理解がしやすくなります。
それぞれに対応した「言語拡張」を適宜説明します。

更に「言語の本質」と「ヒトの認知様式 - 自然な単位」の二つが
があるのでそれも説明します。完全に個人的主観ですが、非常に美しい事実です(※)。
このクロスオーバーが「難解な文章」にとって非常に大事です。
言語の本質に忠実であるがゆえに、他の文章と比べてクロスオーバーは頻出します。
難解な文章の読みづらさの一つの原因です。
しかし、クロスオーバーを利用できると難解な文章は逆に非常に読みやすくなるのです。
非常に面白い現象です。
「3つの言語拡張」は上記3つを最大限に活用しています。

(※)正直この事実に気づいた際には「終わったな」と思いました。ここまでカタルシスを感じたのは久々です。

言語の本質

言語の本質とは何でしょうか?
それは「現実の記号化」です。現実を記号に置き換えたものが言語です。
更に以下の細則があります。

  • 「同じ・違うはいくつかの観点がありうる」
  • 「同じものは同じもの、違うものは違うものとして記号化」
  • 「同じとされたものを更に違うとする際は限定詞が付加される」
  • 「上記は再帰的になされる」

  • 異論があるかもですが、難解な文章は基本的にそうなっています。
    そして、読書とは

  • 「記号を現実に戻す行為」

  • です。以下、一つずつ見ていきます。



    1. 現実世界の理解と分割:

      私たちは、現実世界を特定の観点で分割します。
      その際に、同じものは同じもの、違うものは違うものとして分別がなされます。
      この「同じ・違うはいくつかの観点」がありえます。

      りんごとグレープとオレンジ

      ・(例)リンゴとグレープとオレンジは、フルーツの観点で同じです。
      ・(例)リンゴとグレープとオレンジは、種の観点で異なります。


      りんごカラー

      ・(例)赤リンゴと緑リンゴは、リンゴの観点で同じです。
      ・(例)赤リンゴと緑リンゴは、色の観点では異なります。

      これは果てがなく続きます。

      ・(例)赤リンゴと赤リンゴは、リンゴと色の観点で同じです。
      ・(例)青森産の赤リンゴと長野産の赤リンゴは、産地の観点では異なります。

    2. 記号への置き換え:
      このように様々な形で分割された現実を次は記号に変換します。
      記号とはもちろん文章のことです。
      先ほどの各絵を説明した文章がまさに記号化ですね。
      文章は現実と対応した分割がなされています。
      すなわち同じものは同じ記号、違うものは違う記号に対応します。

      リンゴの種類の話で終わるのではなく、数と位置情報も記号化するとリンゴの絵は以下のように記号化されます。

      この画像には、15個のリンゴが整然と並んでいます。リンゴの色は主に緑色と赤色の2種類で構成されています。緑色のリンゴが多数を占め、合計で9個あります。一方、赤色のリンゴは6個だけ並んでいます。前方から4列に並んでいます。1列目には左から緑色のリンゴ、赤色のリンゴ、緑色のリンゴが2個の合計4個があります。2列目は緑色のリンゴが3個あります。3列目は赤色のリンゴが4個あります。4列目は左から緑色のリンゴが2個、赤色のリンゴ、緑色のリンゴの合計4個があります。



    3. 限定詞:

      リンゴの種類の話しに戻ります。
      AとBは違う、といった際に全然違う場合もあれば惜しい違いも有ります。
      例えば赤リンゴとオレンジは全然違いますが、赤リンゴと青リンゴは惜しい違いです。
      赤と青といった、色だけが違うだけで両者は同じくリンゴだからです。
      この構図は同じ「リンゴ」に対して「青」、「赤」という限定詞だけを付与することで、現実のちょっとだけの違いを表現できています。

    4. 無限に続く限定詞:

      この限定は無限に続きます。
      例えば、青森産赤リンゴと長野産赤リンゴは青りんごと赤リンゴの違いよりももっと惜しい違いです。
      「赤リンゴ」に対して「青森産」「長野産」の限定詞がかかります。
      さらに、「2023年収穫長野県産赤リンゴ」、「2024年収穫長野県産赤リンゴ」、
      「佐藤さんの畑の2024年収穫長野県産赤リンゴ」、「山田さんの畑の2024年収穫長野県産赤リンゴ」、
      と続けても良いわけです



    5. 記号から現実を再構築:

      記号(言語)を受け取った人(読者)は、それを読み取り現実を再構築します。
      再構築というのは2つの過程があります
      すなわち、まず記号を現実と対応付けること。
      次に分割された現実を分割前に戻すこと、です。
      この再構築が読書に相当します。
      その再構築の過程では、読者に負担を強いる局面が多々存在します。
      難解な文章は特に負担が大きいです。
      以下では再構築の過程だけでなく、上記負担を軽減する方法を併せて説明します。




    6. 単語の分割と理解(再構築LV.1):
      1. 単語の分割
        文章をまず単語に分割します。以下の単文で考えてみます。
          (原文)膨大な数の栽培品種は、スイートオレンジと同じく、ザボンとマンダリン祖先の混成である。
          (分割)「膨大」「な」「数」「の」「栽培品種」「は」、「スイートオレンジ」と「同じ」「く」、「ザボン」「と」「マンダリン」「祖先」「の」「混成」「である」。

      2. 単語の意味理解(単文)
      3. 次に単語それぞれの意味を知っておく必要があります。文字を見た際に何か現実の対応物をイメージする必要があります。上の細かい単語をイメージしてみてください。

        ・膨大

        膨大

        ・〇〇な

        はてな

        ・数

        数

        ・〇〇の

        はてな

        ・栽培品種

        はてな

        ・〇〇は

        はてな
        ...


        「〇〇な、〇〇の、〇〇は」の3つは、イメージしづらいかもですね、、。
        (前二者は特質、最後のは行為者(主語)の関係を示すものです)。

      4. 単語の意味理解(長文)
      5. 先ほどのは単文だったのでまだ簡単だったと思います。
        ここでは長文(複数文)の事例を考えます。
        長文も同様に一つずつの単語をイメージできる必要があります。
        例えば下の文章を考えてみます。
        みなさんが知っているものだと面白くないのでフェイク文です。

        緑晶石(Green Opax)は、近年開発された先進的な合成素材であり、その特異な物理特性と環境に優しい製造過程で注目を集めています。緑晶石は主に工業用途や医療分野、エレクトロニクスに利用されており、その高い耐久性と軽量性が特徴です。さらに、温度や化学薬品への耐性が強く、幅広い環境下での使用が可能です。 緑晶石の合成は、高度に制御された化学反応を通じて行われます。主な原料としては、シリカ、アルミナ、酸化鉄、そして特殊な有機触媒が使用されます。まず、これらの原料を特定の割合で混合し、高温高圧下で溶融させます。この過程では、均質なガラス状の前駆物質が生成され、次に冷却して結晶化させることで、緑晶石の基盤が形成されます。

        この過程で、副産物として紅甲(Red Tertal)が生成されます。具体的には、緑晶石の結晶構造が安定化する際に、余剰の酸化鉄と有機触媒の一部が反応し、紅甲が析出します。この副産物である紅甲の生成は、緑晶石の結晶化プロセスにおける温度制御と冷却速度によって影響を受けます。最適な条件を見つけることで、緑晶石の純度と品質が向上し、同時に高品質な紅甲も得ることができます。

        紅甲は独自の色彩と光反射特性を持ち、主に装飾材料や特殊な光学デバイスに利用されています。紅甲は、緑晶石の製造過程で得られるため、無駄を出さずに効率的な素材利用が可能です。緑晶石と紅甲は、それぞれの特性を活かして多岐にわたる分野での応用が期待されており、緑晶石の生産技術が進化するにつれ、紅甲の副産物としての利用価値もますます高まっています。



        当然ですが単文と比べて単語数が多いです。
        上の文章で既に431単語あります。
        これは「単語」がこれ以上分解できない単位、となっているからです。
        どういう意味合いで分解できないかは置いておいて、できるだけ細かくしようとしているのが効いています。
        (1000文字 ÷ 100文字/語 と 1000文字 ÷ 10文字/語、後者のほうが語がたくさんあります)。

      6. 重複する単語
      7. しかし一方で細かく分解したことで、重複する単語が出てきます。 例えば上では431単語あると言いましたが、重複を消すと166単語まで減ります。 重複が多い単語は二種類あります。

        1. どんな文章にも、よく出てくるもの
        2. 助詞、助動詞といった一般に文章であれば普通に使われる単語

        3. その文章にだけ、よく出てくるもの
        4. その文章群が話題にしている単語

        後者は上の例だとどの単語でしょうか?
        答えをばらすと「緑晶石」がそれに相当します。

      8. 主題となる単語
      9. そういう話題の中心を捉えられると、文章群はとたんに読みやすくなります。つまりそれらの単語が主役でそれに気を払いつつ、その主役が脇役、各文章で異なって出現する脇役によってどう引き立てられるか、そこに集中できます。試しに「緑晶石」について説明している文だなと思って眺めてみてください。

      10. 課題
      11. しかしいくつか課題があります。

        1. 単語の特定

        2. (★:白黒で何らかのテーマの絵をつくる。複数の同じ構成物が存在する) (★:どの構成物に注目すべきかを示す) (★:その構成物を色付けした絵を提示する)

          1つ目の課題は、そのような主役を簡単に発見できるか?というものです。
          実際に上の緑晶石の文章を見てみてください。
          冒頭に緑晶石が出てくるのでおそらくですが、緑晶石が主役だと予想は付きます。
          ただし本当にそうか。
          私はWikipediaの記事をこの開発のために結構たくさん読んでいますが、タイトルとなる単語、冒頭の単語がなかなか出てこない、
          一方でそれを説明するための準主役みたいな単語が前半の主役になっているケースをしばしば見ています。
          例えばこの文章です。

          自己組織化分子は、自ら組織を形成する能力を持つ分子であり、極小の構造を作るために利用されます。分子マシンは、分子レベルで機械的な動きを実現する技術であり、分子コンピュータや分子ロボットの基盤となるものです。量子ドットは、微小な半導体粒子であり、光学特性を制御するために用いられます。

          「ナノテクノロジー」という技術を説明する文章の冒頭ですが、その前提となる基礎技術が散発的に書かれています。
          なかなかその文章での主役(「ナノテクノロジー」)が出てきません。 その場合は上の冒頭の単語を主役と決め打ちする作戦は失敗します。


          さらに上の緑晶石の文章も、緑晶石以外のもう一人の主役が存在します。
          そのもう一人の主役を探す作業も、上の決め打ち作戦は効きません。


        3. 単語の位置把握


        4. 2つ目の課題として、緑晶石が主役なのは良いとしてその緑晶石に関する説明文をどこまで一度に把握できるか。
          例えば最後まで読んでいった後に、緑晶石について触れられていた箇所を憶えていられるか、という話です。
          メモを取れば、ですが手間がかかりますし緑晶石が主題だとわからないと二度手間になります。
        5. イメージ図
        6. 文章だとだるいかもなので、上に相当する絵を用意しました。
          これはフルーツの絵です。ただし普通の文章と同様に白黒にしています。
          とあるフルーツ(これが主役)に対して他のフルーツと並べた際にどう見えるかについての説明図です。
          登場人物は、アップル、オレンジ、キウイ、グレープ、バナナ、スイカ、洋ナシです。

          • 主役の特定(どのフルーツか)
          • 主役の位置把握(色んな場所に出てくる)


          挑戦してみてください。

          灰色画像


      12. まとめ
      13. まとめると、何度も出現する主題となる単語を把握できると、文章群の理解が進みそうです。
        一方で、主題となる単語が何か、更にそれらがどこに位置するか、を把握するのが現在の読書方法、特に紙の本で読む読書方法では困難です。


    7. 視野を広げる技術(ハイライト) - 同じ単語は同じ色:
      0. フルーツの例(答え合わせ)
      まず答え合わせをします。答えはグレープでした。赤色で強調しています。
      グレープの横に各種フルーツをおくとこんな印象です。
      例えばこれで主役・主題はグレープなんだろうなという答が分かったわけです。
      次は二番目の課題、「主役の位置把握」です。
      その主役が他のフルーツとどういう関係にあるか、5枚のシーンがあります。
      白黒だけのもので見た場合と、赤い強調が入った場合とで見え方が違うはずです。
      あとで文章についての話の際に、この見え方の違いを再考する予定です。

      強調画像


      1. 主題の自動発見
      まず第一の言語拡張をご紹介します。同じ単語は同じ色にハイライトしてしまおうというものです。
      ハイライトしてしまえば、どの単語がどの位置にあるかが一目瞭然です。
      先ほどのフルーツの絵を思い出してほしいです。
      そこでは「主題となる単語」、「その単語が出現する位置」の両方が解消されていました。
      文章についてもこれは同様です。
      現実(フルーツの絵)を言葉に置き換えるだけなので同じなのです。


      自動発見方法


      (以下は与太話で長いです。さっさと次に進んだほうが良いかもです)
      先ほどのフルーツの絵でどうやってブドウが主役と特定できるか。
      その方法に一切触れていませんでした。
      これはフルーツの絵は置いておいて文章側を考えます。 絵よりも文章のほうが操作しやすいです。
      対象が単語(「記号」)として抽象化されています。
      計算機で主題となる単語を割り出すことが出来ます。 電子文書だとそのあたりがうまくやれます。
      愚直にヒストグラムを取るのもありですし、機械学習を使って重要語を割り出すのもありです。
      この辺りは計算資源との相談だと思います。
      ただ、私も色々試しましたが、結論としてはベースはヒストグラムで良いと思います。
      正確にはヒストグラム「が」いいです。
      もちろんただのヒストグラムでは駄目(そもそもヒストグラムって何を定義したら具体的なヒストグラムになる?という話もある)ですが、この辺りノウハウなので伏せておきます。
      上は私の保身のためでもありますが、 正解(と先人が言っていること)を知らずにスタートしたほうが、 すごいのがでてくることもあると思います。
      いきなり正解(とされるもの)を見に行く(例えばいきなり教科書や論文に当たる)のは、
      最短かもしれませんが失うものもあるかと。特許調査についても同様の感想です。
      余談が長くなりました。

      文章をハイライトした事例


      下記リンク先を参照ください。ボタンを押すと切り替わります。

      緑晶石

      単語検索時によく見る光景ですね。
      しかし単語検索と違うのは、まず自動で検索語を選択しています。
      単語検索の場合は、1つ目の課題である「主題・主役の特定」が既に解かれている状態からスタートしています。
      しかしここでは計算機が自動で選別しています。
      2つ目に違うのは、単語検索は普通は1単語、つまり1色が強調されますが複数色が使われます。
      主役は必ずしも一人ではないので、この拡張は重要です。
      他にも色々と細かい技術を投入していますが、ここでは長くなるので割愛します(※)。
      (一つだけ取り上げると、キーボードやマウスを使わなくてもやれるので、
      読書からの集中を維持できます)

      このハイライト技術は主題を自動で探す以外の効用もあります。


      2. ハイライト対象の区別
      2.1. ハイライト対象間の区別
      単色ではなく多色を使えるので、ハイライト対象内、つまり異なる色同士を区別できます。
      以下の文章を参照ください。
      日本史の教科書によく出てきそうな文章です。緑晶石と同様にフェイク文です。

      平政道は、平安時代中期の武将でした。彼は家督を継いだ後、数多くの戦闘に参加し、その武勇で知られていました。しかし、政道は比較的若い年齢で亡くなり、幼い息子の政長を残しました。政長は父の死後、家督を継ぐことになりましたが、まだ幼かったため、権力争いが勃発しました。

      政長の叔父である政信は、政長の後見人として実権を握る立場にありましたが、自らの家督継承を目指すようになり、政長との間で激しい家督争いを繰り広げました。政信は、政道の弟であり、家督を巡る争いの中で、自らの正統性を主張しました。この争いにより、平家は二分され、内紛が激化しました。

      一方で、政長の弟である政時は、幼い頃から叔父の政信のもとで育てられ、政信に忠誠を誓っていました。政信の家督継承を支持していた政時ですが、政長の死後に成人し、自らの権力を確立するために政信と対立するようになりました。

      この家督争いにおいて、源氏の武将である源道政は、当初は政信を支持する立場を取っていました。しかし、政信が政長を支持する勢力と対立する中で、道政は次第に政長側に加担することを決意しました。道政は政長を支援し、内紛を利用して源氏の勢力を拡大しようとしました。

      争いの最中、政長は若くして死去しました。この時点で政時は成人しており、今度は政信と対立することとなりました。政時は政信との争いの中で道政の支援を受け、政信を圧倒する立場に立ちました。

      道政はこの機会に乗じて源氏の勢力を拡大し、平家の権力を奪取することに成功しました。こうして、平政道の死後に始まった家督争いは、平家の衰退と源氏の台頭を象徴する出来事となり、平安時代中期における歴史の一ページとして刻まれることになりました。

      感じてほしいのですが、類似の名前がたくさん出てきます。これが信長、秀吉、家康のようなよく知られている武将、イメージしやすい名前であれば問題ないのですが、道を少し外れるとこんなものです。
      これに自動ハイライトを施してみます。以下のリンク先を参照ください。

      平政道

      「家督」という単語もハイライトされていますがご愛嬌です。
      「家督」争いに関する文章なのでこれも重要語、主役な単語です。
      感じてもらいたいのですが、俯瞰的に眺めることも出来ますし、なにより読み戻りが楽です。 この人、少し前に出てきてたっぽいけど、、という際に簡単に読み戻れます。


      2.2. ハイライト対象・ハイライト対象外の区別
      フルーツの絵に戻ります。あの5枚の絵を究極に抽象化すると以下の5文になります。



      そして主題である「グレープ」を赤色でハイライトした結果です。



      「グレープ」と対になるのは何か、という意味でポジ(ハイライト対象)に対して逆にネガ側が目立つようになります。
      5枚の絵はいずれもグレープを主題とする絵ですが、5枚のそれぞれの違いを表しているのはこの「ネガ」側です。
      もう一度上の灰色画像を眺めてみると面白いと思います。
      後で「自然な単位」についての解説場所でこの話はもう一度でてきます。


      3. 外国語学習
      他にも自動ハイライトが有効利用できるケースがあります。 同じ色にハイライトされている単語は、基本的には同じ意味です。 緑晶石の説明で、単語の総数は431単語ですが、重複を消すと166単語まで減ると言いました。 単語を(多色)ハイライトさせると同様にわからない単語を圧縮させられます。 例えば以下のリンク先の文章を読んでみてください。三国志の説明ですが中国語です。

      三国志(中国語)

      中国語なので単語数はよくわからないですが、多少は減っているはずです。 何より「全然意味がわからない」、「わからないものが膨大でビビる」みたいな状況が緩和されていると思います。
      日本人だから漢字が読めるのでまあまあかもですが、ラテン文字圏(俗にいうアルファベット)の人からすると恐怖かもですね。 参考におそらくほとんどの日本人には馴染みがない言語の例も張っておきます。

      ??(??語)

      文字すらわからない状況を体験してみてください。
      それでもハイライトがあると、不思議な安心感が出てくると思います。


      他にも大事なのが、「どの単語をまず調べるべきか」、これが分かります。
      これは緑晶石の説明文の際に緑晶石にまずフォーカスする、というのと似ています。
      先ほどのリンク先には対訳を書いておきました。

      1. 刘备 = 劉備(人物名)
      2. 曹操 = 曹操(人物名)
      3. 徐州 = 徐州(地名)
      4. 荆州 = 荆州(地名)


      このあたり分かると例えば、
      「刘备讨伐黄巾有功」「刘备来到徐州」「荆州落入曹操手中」あたりは何となく意味が見えて来ると思います。
      他にも穴あきクロスワード状態になる、つまり連想ゲームが使えそうな状況になります。
      文字すらわからないケースを再度見てほしいですが、オレンジ色の単語が主役で、これについて色々説明してそうな感じが私にはします。

      ??(??語)

      仮にそれが正しいとすると、他の単語はオレンジ色の単語が何らかの形で絡んでそうな単語になります。
      これは上の緑晶石がオレンジ色の単語だとすると、素材、物理特性、製造、耐久性、軽量性、温度、、などといった具合に緑晶石は材料なので、材料関係の話題の際に出てきそうな単語が芋づる式に増えていきます。 外国語の勉強をする際にはこのように話題ごとに単語を憶えるのが有効です。
      その際に、起点となる単語(オレンジ)を自動で発見するのはかなりの助けになるはずです。

      4. 教科書学習
      上の例は外国語、単語をよく知らないという状況ですが、 それ以外の分野の一般的な教科書でも、初学者、つまりその業界の単語を知らない人からすると、 同様の状況になっています。冒頭に述べた「難解な文章」のいくつかをカバーしているのが分かります(以下、再掲)。




    8. 名詞句 (再構築LV.2):
      単語の個々の意味が分かったので、次は先には複数の単語を合体させます。
      合体した単語は個々の単語を越えた大きな意味を持ちます。


      1. 自然な合体 - 名詞句
      2. 合体はどのような基準でなされるか、人間の認識様式に倣うのが自然です。
        すなわち、人間は認識の傾向として「モノ」を単位として考えます。
        「モノ」は記号でいうと名詞句に相当します。
        • 単語:
          「膨大」な「数」の「栽培品種」は、「スイートオレンジ」と同じく、「ザボン」と「マンダリン」「祖先」の「混成」である。
        • 名詞句合体:
          「膨大な数の栽培品種」は、「スイートオレンジ」と同じく、「ザボンとマンダリン祖先の混成」である。
        名詞句 - 閉じる宇宙 大事なのは名詞句はそれ自体で閉じた単語になっています。実際、「膨大な数の栽培品種」は想像がつきますが、「膨大な数の」だけだとちょっと具体的な対象が想定できません。

      3. シンプルな構造 - 名詞句合体の効果
      4. 名詞句という単位で閉じることで、文章全体がシンプルなものになります。 名詞の部分がどういう意味かは置いておいて、とりあえず「モノ」だとします。
        • 単語:
          「NP0なNP1のNP2は、NP3と同じく、NP4とNP5のNP6のNP7である。」
        • 名詞句合体:
          「NP0は、NP1と同じく、NP3である。」
        • 名詞句合体(再掲):
          「膨大な数の栽培品種」は、「スイートオレンジ」と同じく、「ザボンとマンダリン祖先の混成」である。
        • 合体した後は文章が短く全体が把握しやすいです。全体の構造を把握するレベルと、細かい宇宙である「膨大な数の栽培品種」、「スイートオレンジ」、「ザボンとマンダリン祖先の混成」をそれぞれ把握するレベルの作業は独立して行えます。 名詞句把握の恩恵は大きいです。 例えば文章を速く読めるか、色々なテクニックがあるかと思いますが名詞句の認識がその一つだと思います。 他にも文章構造をシンプルに出来るので意味理解をするためにも有効です。 小さめの名詞句を理解したあとで大きな名詞句を理解するといったボトムアップな理解を進めることが出来ます。


      5. 課題 - 名詞句把握の難易度
      6. 上を実現するには名詞句を正確に見出す必要が有ります。 緑晶石の文章を再掲します。ここから名詞句を見出してみてください。

        緑晶石(Green Opax)は、近年開発された先進的な合成素材であり、その特異な物理特性と環境に優しい製造過程で注目を集めています。緑晶石は主に工業用途や医療分野、エレクトロニクスに利用されており、その高い耐久性と軽量性が特徴です。さらに、温度や化学薬品への耐性が強く、幅広い環境下での使用が可能です。 緑晶石の合成は、高度に制御された化学反応を通じて行われます。主な原料としては、シリカ、アルミナ、酸化鉄、そして特殊な有機触媒が使用されます。まず、これらの原料を特定の割合で混合し、高温高圧下で溶融させます。この過程では、均質なガラス状の前駆物質が生成され、次に冷却して結晶化させることで、緑晶石の基盤が形成されます。

        この過程で、副産物として紅甲(Red Tertal)が生成されます。具体的には、緑晶石の結晶構造が安定化する際に、余剰の酸化鉄と有機触媒の一部が反応し、紅甲が析出します。この副産物である紅甲の生成は、緑晶石の結晶化プロセスにおける温度制御と冷却速度によって影響を受けます。最適な条件を見つけることで、緑晶石の純度と品質が向上し、同時に高品質な紅甲も得ることができます。

        紅甲は独自の色彩と光反射特性を持ち、主に装飾材料や特殊な光学デバイスに利用されています。紅甲は、緑晶石の製造過程で得られるため、無駄を出さずに効率的な素材利用が可能です。緑晶石と紅甲は、それぞれの特性を活かして多岐にわたる分野での応用が期待されており、緑晶石の生産技術が進化するにつれ、紅甲の副産物としての利用価値もますます高まっています。



        上のように文章が長くなると名詞句構成が難しくなります。
        そもそも論として読書は前から順番に読んでいく必要があり、 予めここが名詞句だ、と網羅的に把握するのが難しいのです。 読者自身がその読んでいる文章に慣れている場合は名詞句構成が出来るかもですが、 そもそも慣れていない領域、 例えば勉強しているフェーズなどでは読みながら名詞句を構成するのは非常に難しいのです。 このように現在の読書方法では名詞句の特定が難しい局面があり、 その場合、名詞句のポテンシャルを活かしきれないです。



    9. 自然な認識術 - 名詞句を示す:
      名詞句を予め計算して示せればすべて解決です。ボールド体で示しています。 先程の緑晶石の例に適用した結果です。

      緑晶石(名詞句)

      原文と見比べてみてください。 色々と目に見えない工夫がなされていますが、ここでは割愛します。 例えば名詞句はいくつか取りようがあるのですが、読書する上で良さげな単位を選択しています。 ただしここで止まってほしくないです。先程の単語ハイライトと組み合わせると化けます。効果は足し算ではなく掛け算で効いてきます。


    10. ハイライトと名詞句強調の連携:
      この部分が最も大事です。冒頭に掲げた「言語の本質」が最も効いてきますし、難解な文章を楽に攻略するにはこの2つが連携する必要があります。ハイライトだけだと2割、ボールドだけだと4割程度の力しか出ません。 以下数点を復習させてください。 これまでの復習:
      言語の本質は「現実をとある観点で分割し、同じものは同じ記号、違うものは違う記号で表現すること」でした。 そしてハイライトは普通はその文章群でテーマとなっている単語にかかります。これは自動でなされます。 言い忘れましたが、上記のテーマになる単語はほとんどが名詞です。 名詞句は形容詞+名詞(句)で表現されます。 右側の名詞を共通とする名詞句はその右側の名詞の観点で「同じ」とされ、形容詞の観点で「違う」とされます。 ハイライトは「名詞」(共通部分)にかかります。 名詞句強調は(形容詞+名詞(句))の全体にかかります。

      連携の効果 - 形容詞の浮き彫り:
      まどろっこしいですが、ハイライトと名詞句強調を併用することで、 まず、各名詞句でおなじ名詞を共有する名詞句のグループが発見できます。 次にそれらの中で差異となっている「形容詞」が浮き彫りになります。 以上です。

      言語の本質をすべてカバー:
      つまりですが、言語の本質である「(現実をとある観点で分割し、)同じものは同じ記号(名詞句)、違うものは違う記号(形容詞)で表現すること」 のすべてが網羅できてしまいます。
      ポエム:
      あっさり書きましたが、私はこの事実に気づいたとき正直感動しました。 実際に読みやすさは何となく理解してたのですが、こんな変な読み方、自分だけが使えて他の人にはおすすめできるかなぁと何度も自問自答したわけです。 しかし、上の事実に気づいたのでこれはまっとうな路線、まっとうな進化。現在の読書方法を大きく前進させる重要な技術と気付かさせられて自信を持ってこの文章を書いている状態です。 実験:
      以下の文章を対象とします。これはナムコンという架空の症状についての説明です。 まずは読んでみてください。難解な文章だと私は感じました。


      ナムコン(Namcon)は、主に心理的または生理的要因によって引き起こされる複雑な症状群を指す総称であり、具体的な症状や発症機序は多岐にわたります。代表的なナムコンの種類として、不安ナムコン、憂鬱ナムコン、記憶ナムコン、注意ナムコンがあります。

      不安ナムコンは、強い不安感や恐怖感を伴う症状群で、特定の状況や物事に対して過剰な心配や恐れを感じることが特徴であり、動悸や胸痛、呼吸困難、発汗、集中力の低下などが見られます。主な原因は遺伝的要因、環境的ストレス、トラウマ体験、神経伝達物質の不均衡です。治療には認知行動療法(CBT)、抗不安薬、リラクゼーション技法などが用いられます。

      憂鬱ナムコンは、持続的な抑うつ(憂鬱)気分や無気力感が特徴で、自己評価の低下や興味の喪失を伴うことが多く、持続的な抑うつ(憂鬱)気分、無気力感、睡眠障害、食欲の変化、自尊心の低下が見られます。主な原因は遺伝的要因、神経生理学的異常、心理社会的ストレス、ホルモンバランスの乱れです。治療には抗うつ薬、認知行動療法(CBT)、生活習慣の改善、社会的支援が有効です。

      記憶ナムコンは、短期記憶または長期記憶の一部または全体に障害が生じる症状を指し、通常は認知機能の低下や物忘れが主な症状であり、最近の出来事や情報を忘れる、重要な約束や日時を忘れる、学習能力の低下、方向感覚の喪失が見られます。主な原因はアルツハイマー病や他の認知症、脳外傷、精神的ストレス、薬物の副作用です。治療には認知訓練、生活リズムの整備、薬物療法、環境調整と家族の支援が必要です。

      注意ナムコンは、集中力や注意力の低下が顕著な症状を指し、ADHD(注意欠陥多動性障害)の一部としても認識されることが多く、短期間しか集中できない、仕事や勉強でのミスが多い、課題を完遂できない、過度な忘れ物や物をなくすなどの症状が見られます。主な原因は遺伝的要因、神経発達的要因、環境的ストレス、食生活や睡眠の問題です。治療には行動療法、薬物療法(中枢神経刺激薬など)、環境調整、生活習慣の改善が推奨されます。




      この結果に対して、
      ・ハイライト(ナムコンに対して)のみを加えたもの
      ・ハイライト(ナムコンに対して)とNPボールドを加えたもの
      を、リンク先に用意しました。切り替えて読んでみてください。
      〇〇ナムコンという単語が後者ではきわだつのがポイントです。


      ナムコン(名詞句+ハイライト)

      (こちら のほうが明確かもしれないです。
      〇〇ゴルフはすべて名詞句ですが「ゴルフ」が強調されることで逆に〇〇の違いが見えやすくなっています)

      但し、もう一つ合ったほうが良いギミックが有ります。

    11. 文 - 明確な区切り(再構築LV.3):
      名詞句は閉じた宇宙と言いましたが、これを算出するにはAIを使うなどのそれなりに高価な処理が必要です。 一方でそこまで手間がかからない宇宙が有ります。それは各文章です。 基本的には各文章も閉じた宇宙になっています。 これはボーナスに近いです。 ただし現状の読書方法というか文章の表示方法だと、 文章を流れるように読みたいとか、 紙面を減らしたいという理由で各文章は横方向に併置されます。 そして紙面右端に到達すると折り返されます。 このやり方では冒頭のボーナスは得られにくい。 つまり、文の切れ目が見づらいのです。一応句点で示されますが、 もう少し見やすい方法が有ります。 せっかく作ったのでお見せしますが、こんな状況になっています。 言語拡張の余地:
      しかし上の文章を現実に当てはめると以下のような状態です。

      折返し画像 いかがでしょうか、絵の内容を非常に捉えづらいと思います。 文章に置き換える、普通に紙面で書かれるやり方で置き換えると以下のとおりです。

      「リンゴ、オレンジなどの果物が複数の皿に盛り付けられている。 リンゴ、ブドウなどの果物が複数の皿に盛り付けられている。 リンゴ、ブドウなどの果物がバスケットに盛り付けられている。 リンゴ、ブドウなどの果物が2つの木製トレイに盛り付けられている。 リンゴとブドウが無造作に並べられている。」

      つまり、そのまま復号するとこんな感じに折り返されたものになっています。
      非常に見づらいです。
      言語拡張 - 一行に一文:
      一方で文の意味を考えると、それぞれが一つずつ意味があるので以下のような言語拡張が施せます。 文の区切れ目をわかりやすく出来ます。

      「リンゴ、オレンジなどの果物が複数の皿に盛り付けられている。」
      「リンゴ、ブドウなどの果物が複数の皿に盛り付けられている。」
      「リンゴ、ブドウなどの果物がバスケットに盛り付けられている。」
      「リンゴ、ブドウなどの果物が2つの木製トレイに盛り付けられている。」
      「リンゴとブドウが無造作に並べられている。」




      これを先程の絵に翻訳すると以下の感じになります。非常にわかりやすいです。


      スタック画像



      付随効果 - ハイライト・NP強調の緩和:
      人によっては、ハイライトで色んな色を使うこと、NP強調でボールド体を多用することは、単なる白黒と比べて「うるさい」と感じる人がいるかと思います。 確かに私もそう感じます、上で述べたメリットがある一方で「うるさい」デメリットが有ります。 その際に、1行に1文の改善を加えるとうえのうるささが改善されます。 上の絵画を見てほしいです。これはカラーになっていて色々と「うるさい」ですが、上の回り込む絵画よりも見やすいはずです。 対応する言語側にハイライトとボールドを示した結果が以下です。 その下に改行を加えずにハイライトとボールドを示した結果も載せました。 ぜひ見比べてみてほしいです。

      ナムコン(改行+名詞句+ハイライト)

      付随効果2 - 整合的な文体ボーナス:
      上記ナムコンの例でもう一つ注目してほしいのは、文章に規則性のある文体が用いられていることです。
      すなわち、


      という一定のルールに基づいて書かれています。 そしてこれは改行して左揃えにして初めて際立つものです。 「難解な文章」はこのような規則性のある文体がしばしば用いられます。 それを積極的に活かすべきです。

      全部入り:
      ここまでに出てきた例文に対して、

      (1)原文
      (2)ハイライト+名詞句強調+改行の全部入り

      との 比較を用意しました。

      これまでのは要素技術単体の説明のために用いられてたので、正直パワー不足です。
      こちらでトータルとしての技術の可能性を感じてほしいです。


    言語の本質を際立たせる

    以上が言語の本質とそれに対応したギミック、難解な文章を楽に読むために有効なギミックです。大事な部分を抜き取ると以下のとおりです。

    サンプル

    上はオレンジという特殊な例でした。他にも有効か、ぜひ試してみてほしいです。

    サンプル(体験版)